足りないものは

   2015/06/21

長谷部さんの試合後のインタビューを元に分析された記事がありましたのでご紹介します。

長谷部誠に提示された進化の契機。繰り返した「工夫が足りなかった」。
引用元:Number Web 6月20日(土)16時31分配信
http://number.bunshun.jp/articles/-/823563

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「選手の中には、W杯やアジアカップでの失望やトラウマを抱えたままの者がいる」

ハリルホジッチ監督の言葉を伝えたとき、長谷部誠はそっとうなずいて、W杯ロシア大会へ向けた新たな一歩を力強く踏み出したいと話した。6月10日、親善試合イラク戦の前日のことだ。

「それは間違いなく選手の中にあると思うし、応援してくれる人たちも新しい何かを感じてもらえるような試合をやりたい。結果だけでなく、内容に関しても。そういう強い気持ちを持っていると思います」

チームメイトの想いを代弁するように語ったキャプテン。イラク戦では4-0と完勝することに成功したが、重要なW杯ロシア大会アジア2次予選初戦のシンガポール戦は0-0のスコアレスドローとなってしまった。

キックオフ直後からピッチ中央でボールに絡み、パスの供給源としてだけでなく、積極的な攻撃参加も見せた。少ないパスで、敵陣へと素早く攻め入る“縦に速いサッカー”を実現しようと試みたに違いないが、しっかりと自陣を守るシンガポールの壁を破るのに苦労していた。

「もう少し……攻撃のバリエーションというかね」

「相手がこうやって引いてくるというのはわかっていたので。サイドから攻めるという部分と1タッチ2タッチのシンプルなプレーでスピードを上げていこうと。今日はサイドと真ん中を使い分けて攻撃していく形だったけれど、相手もサイドのFWがしっかりと戻っていてサイドチェンジできるスペースもなかった。僕らボランチから真ん中へ当てようとしても、中央もしっかりと締められていた。僕のパスも何回もカットされたし。

前半はね、良かった部分が何回かあったんですけど、なかなか点が入らないとみんなが丁寧に行きすぎるというか、考える時間が長くなっていってしまった。

相手の守備の仕方は確かによかったと思うけれど、それを差し引いても、もう少し……攻撃のバリエーションというかね。引いた相手に対して、少しセンタリングを簡単に上げすぎた部分もあった。もう少し崩してからでも良かったかなって。そこのところはまだまだだなって思います。サイドのスペースをあける工夫も必要だった」

繰り返し口にした「工夫が足りなかった」。

「今日みたいな引いた相手の場合、縦へ速くというのが難しいのかなというのは、やっていても感じました。ただ、チャンスがまったくなかったわけでもないし、これで点が入っていれば、また違った印象になっていたかもしれないですけれど。

引いた相手に対して、どういう風にプレーしていくのか。たとえば相手をわざと引き出して、スペースをあけさせてということもあるだろうし。ただ今日に関してはなかなか点が取れなかったので、みんなが前へ前へという意識になっていたと思う」

シンガポール戦後に取材を短時間で済ませる選手も多い中、10分近く記者の質問に対応した長谷部。惜しいチャンスがありながらも、ゴールが決まらなければ勝てない。その悔しさは、「工夫が足りなかった」と繰り返す、彼の言葉の端々から伝わってくる。過去に何度も同様の展開で苦汁をなめてきた。だからこその不甲斐なさを長谷部自身も抱いていたに違いない。

「ブーイングは当たり前だと思う」

「(試合後のサポーターからの)ブーイングは当たり前だと思う。僕たちにとっても、こういうゲームで点が取れないというのは初めてではない。(ハリルホジッチ)監督では初めてかもしれないですけど。アジアカップでもそうだったし、W杯のギリシャ戦でもそうだった。

もちろん相手のオーガナイズされた守備も良かったと思います。ただ、その中でもこれだけのチャンスがあって、決められなかったというのは、もう何度もやってきたことなので。重く受け止めなくちゃいけない。もう少し何かが、最後の部分ですけど、足りないというのを痛感しますね。

前回のW杯予選初戦では北朝鮮に苦戦しながら、勝ちきれた。勝ちきれなかった今日とは紙一重の差なのか、大きな差なのか。もちろん、運もあると思うけれど、それを運で片づけずに、自分たちがそこをしっかりと突き詰めていかなければいけないと思う。

これからも、アジアを相手に戦っていくと、こういう(自陣を固める)相手が増えると思う。そういう意味では今一度、頬を叩かれたという部分がある。イラクは出てきてくれるチームだったので、自分たちがやろうとしているサッカーがやりやすかった。でも、今日のように引いてくる相手、しかもただ引いてくるのではなくて、かなりオーガナイズされたチームを相手に戦うためには、もう少しバリエーションというモノを持っていることが必要だとは思います」

ピッチ上で選手が判断することは「結構ある」。

アジア相手の試合が容易ではないことは、新任監督よりも熟知しているはずだった。

「大きな目標としては、世界で、W杯で勝つことというのに変わりはない。ただ、監督が代わり、新しいやり方を親善試合やアジアの予選の中でやりながら、成長していくことを一番に考えている。その先に世界で勝てるというところへたどり着くんだと思う。

ただ、相手のやり方によっては僕たちが押し込む時間が長くなるだろうし、そういう状況下では、自分たちがピッチの中で決めていい、自分たちで判断していいという部分は結構ある。守備の仕方やボールの取りどころなんかでも、監督のやり方が何パターンかあって、それをピッチの中で判断してやるのは君たちだという風に監督は言っているので」

指揮官の要求通りに動くだけでは勝てない。もっとも重要なことは、戦況に応じて、ピッチ上でいかに戦っていくかを、選手自らが描き、それを共有できるかだ。そのリーダーとなるべき選手は誰なのだろうか。

そのプレーや存在感で、チームを動かし、ゲームをコントロールすることできるか。ボランチ長谷部誠の進化を促すきっかけが、シンガポール戦で提示されたように思う。

自身にとって3度目のW杯へ向かう戦い。ギリギリで勝てなかった、勝ちきれなかった“結果”の重さ。ぬぐえなかった失望。そんなネガティブなものを背負いながら、長谷部の挑戦は始まった。

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