中盤考察

 

日本代表がW杯で格上に勝利できるベストな中盤を考える
引用元:Sportiva 2015.05.21 配信
http://sportiva.shueisha.co.jp/clm/jfootball/2015/05/21/mf/

3月の親善試合(チュニジア戦/2-0、ウズベキスタン戦/5-0)で、ヴァヒド・ハリルホジッチ監督が採用した基本フォーメーションは、「4-3-3」、または「4-2-3-1」だった。次の6月のW杯予選では、どのような選手が招集されるのか気になるところだ。今回は、ハリルジャパンの中盤について福田正博氏が現在の考えを語った。

4-3-3の場合、中盤の構成はセンターバック2枚の前にアンカーがひとり、その前方の左右にインサイドハーフがポジションをとり、逆三角形の陣形が基本になる。

アンカー、あるいはワンボランチとも言われるポジションに適した世界レベルの選手は、日本にはまだ少ない。たとえば、バルセロナのブスケッツ(スペイン代表)のような「高くて強くてうまい」選手がいればいいが、日本にそういう選手はなかなかいない。アンカーに高さが必要になる理由は、ふたりのセンターバックの前に位置するアンカーに「高さ」と「強さ」があることで、ハイボールへの対応も含めた守備が安定するからだ。

たとえば、センターバックにボアテングとバドシュトゥバー(ともにドイツ代表)という強力なDFがいるバイエルンであれば、ラームのような小柄な選手をアンカーに置いてもいいだろう。しかも、バイエルンはほとんどの時間帯で自分たちがボールを保持して主導権を握っているため、アンカーへの負荷がそこまで大きくないので、小柄な選手でも問題はない。

しかし、センターバックがバイエルンほどの強さではない日本代表が格上と戦うときは、アンカーひとりでは厳しいだろう。相手がどんな戦術かにもよるが、やはり4-2-3-1のダブルボランチのほうが守備は安定してリスクは減る。日本人は身体のサイズが大きくないので、中央の4人、つまりセンターバックふたりとボランチふたりで守ったほうが、スペースを埋めやすいということだ。

反対に、対戦相手が格下だったら、ボランチをふたり置いておく必要はない。アンカーひとりにして、MFはどんどん前へ出ていけるほうがいいだろう。ただし、アンカーはあまりボールに食いついてはいけないポジションで、自分のエリアを留守にしてはいけない。ボールを奪いに行って、かわされてしまったら、センターバックの前のスペースがポッカリ空いてしまい、守備が混乱する。

たとえば、バイエルンのシャビ・アロンソ(スペイン代表)は中央でドッシリ構えている。そして、ポジショニングがいいのでほとんどのこぼれ球を拾う。ただ、スピードがあるわけではないので、ガンガン前には出ていかない。

日本代表の場合、W杯アジア予選であればボランチひとりでも互角以上に戦えるだろう。アンカーとセンターバックの3人で守りきれるからだ。アンカーひとりの場合、日本が主導権を握れる相手ならば長谷部誠、少し守備に比重をかけたほうがいいときは山口蛍がいいのではないかと私は思う。

そして、格上との対戦になるW杯本大会でも、日本代表がアジア予選と同じように対応できるかどうかが問題だ。日本の場合、W杯本大会で対戦する相手はほとんどが格上。4-3-3の布陣で前からプレスをかけてもハマらないときのことも考えるべきだろう。

仮に、W杯本大会で日本がドイツと戦ったら、アンカーひとりでは守りきることは現実的に難しい。前からプレッシャーをかけてボールを奪おうとしても、プレスを回避されて全体のコンパクトさがなくなってしまい、その結果、中央やサイドのスペースを使われてそこで起点を作られてしまったら、守備の混乱を招く。

あるいは、相手のセンターフォワードにイブラヒモビッチのような長身FWがいて、そこへロングボールを放り込まれたら、日本の中盤の上空をボールが通過していくので前からのプレスがハマらない。そう考えていくと、格上と戦うときは、ボランチふたりとセンターバックふたりの4人で守るほうが安定しているといえる。その場合の中盤は、長谷部と蛍がダブルボランチを組むことがいいと私は考えている。そして、ハリルホジッチ監督は、相手に合わせてその変更ができるはずだ。

ハリルホジッチ監督が就任以来、もっとも強調していることが「前に出ていくこと」だ。テンポを速くして、ひとりひとりの判断スピードも含めてプレースピードを上げて前へ出ていく。これはドイツ代表がやっていることでもある。ひとりがボールを持つ時間を2秒、あるいは1秒と短くしていく。そのためには、判断のスピードを高めて、技術を高めなくてはいけない。正確に速く、次のプレーを読む力も必要になる。

中盤は、それがもっとも求められるポジションになる。プレースピードとクイックネスが必要な「縦に速いサッカー」。積極的に飛び出していくことを求めるハリルホジッチスタイルを考えると、相性がいいMFは蛍だろう。彼は縦にどんどん出て行くし、ボールを奪取する能力も高く、インターセプトもできる。長谷部誠も縦にスプリントする選手であり、縦にドリブルしてボールを運ぶ。つまり、スプリントを繰り返すことができ、ハードワークができて、球際も強い。そんな勇猛果敢な選手をハリルホジッチ監督は求めているのだと思う。

4-3-3であれば、アンカーに長谷部、インサイドハーフの右に蛍、左に香川真司が私のファーストチョイスになる。もちろん清武弘嗣も候補のひとりだ。宇佐美貴史をインサイドハーフで起用する手もある。あるいは、技術や戦術眼で確かなものを持っている柴崎岳もインサイドハーフで見てみたい選手だ。さらには、先日の国内合宿に招集された米本拓司ら、新戦力の台頭にも期待したい。

6月のW杯アジア予選で、ハリルホジッチ監督がどのフォーメーションを採用して、どんな選手起用をするのか楽しみだ。

18年ロシアW杯のカギ握る16年リオ五輪世代の注目株
引用元:デイリースポーツ 5月21日(木)11時0分配信
http://www.daily.co.jp/opinion-d/2015/05/21/0008045047.shtml

サッカー日本代表は5月12、13日の2日間、国内組のみの候補合宿を千葉県内で行った。集められた28人の中には16年リオデジャネイロ五輪を目指すU-22(22歳以下)日本代表DF岩波拓也(20)=神戸、植田直通(20)=鹿島、FW浅野拓磨(20)=広島=も含まれていた。バヒド・ハリルホジッチ監督(63)は「若い選手をもっと知りたいと思った」と3人の選出理由を説明した。

14年W杯ブラジル大会で1勝もできず1次リーグ敗退に終わった日本代表にとって、18年W杯ロシア大会は失地回復の舞台となる。その鍵を握るのが今回選出されたリオ五輪世代だ。過去にW杯を戦った日本代表を振り返ると、本大会6年前の五輪を戦った選手の多くがチームの中心となる傾向にある。

例えば14年ブラジル大会では本田圭佑をはじめ、吉田麻也、長友佑都、内田篤人、岡崎慎司、香川真司といった6年前の08年北京五輪に出場した世代が主力に名を連ねた。

10年南アフリカ大会では2年前の北京五輪メンバーから本田、長友、岡崎、森本の4人が入ったが、主力の大半は闘莉王、阿部勇樹、松井大輔、駒野友一、大久保嘉人ら6年前の04年アテネ五輪に出場した選手たちが占めた。五輪出場こそならなかったが川島永嗣、長谷部誠もアテネ世代に含まれる。

06年ドイツ大会でも中田英寿、中村俊輔をはじめ、宮本恒靖、中田浩二、中澤佑二、稲本潤一、柳沢敦、高原直泰ら6年前の00年シドニー五輪メンバーが中心となった。同五輪に出場していないが坪井慶介、小野伸二、小笠原満男らもシドニー世代だった。

02年日韓大会はやや特殊で、A代表と直近のシドニー五輪代表をフィリップ・トルシエ監督が率いたこともあり、オーバーエージ(OA)枠の楢崎正剛、森岡隆三も含めるとシドニー五輪メンバーがほぼそのままチームの主力となった。

“6年間のサイクル”から考えると、18年ロシア大会は12年ロンドン五輪世代の選手が中心となり、今回の候補合宿で選出されたリオ五輪世代が主軸を担うのは22年カタール大会からになるだろう。

ただ、日本がベスト16に進出した過去2度のW杯では、いずれも直近2年前の五輪出場メンバーがチームの主力に食い込んでいる。先に挙げた02年日韓大会はもちろん、10年南アフリカ大会も北京五輪を経験した本田、長友、岡崎はチームの主戦として存在感を放った。

逆に14年ブラジル大会では、12年ロンドン五輪メンバーからOA枠の吉田を除くと6人がメンバー入りを果たしたが、主力と呼べたのは全3試合に出場(うち先発出場2試合)した山口蛍くらいだった。ロシアW杯で日本が躍進するためには、“6年間のサイクル”を打ち破るリオ五輪世代の台頭が欠かせない要素となってくる。

候補合宿を終えた岩波は「高いレベルで練習できて刺激になったし、普段通りできればやれるという手応えもあった。僕らの世代ももっと(日本代表に)食い込めたら」と自信を深めた。浅野も「常に100%でやっていれば、またこういう場(日本代表)に戻ってこられる」と自らに奮起を促した。

リオ五輪世代には他にも遠藤航(湘南)、大島僚太(川崎)、南野拓実(ザルツブルク)、久保裕也(ヤングボーイズ)ら逸材が揃う。3年後、彼らが日本代表の中核へと成長を遂げることが大いに期待される。

その前にまずは来年1月のリオ五輪最終予選を兼ねたAFC・U-23選手権(カタール)で3位以内に入り、6大会連続10回目の五輪出場権を得ることが最優先課題となる。この険しい道のりを乗り越えた先に、ようやくロシアのピッチが見えてくる。

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